■ 家族信託とは
家族信託とは、自身の財産などの管理が本人でできなくなった時に家族にその財産の管理や処分を任せる制度のことを言います。自身の財産を信託する者を委託者、財産を受ける者を受託者、財産の利益を得る者を受益者と呼びます。
家族信託の例:
家族信託をする例として、自身が認知症になった時の対策として利用することがあります。家族信託とは別に成年後見制度の任意後見を利用することもありますが、金額の大きい財産の処分をするためには、家庭裁判所を通さなければならないこと、後見開始の審判が必要であるというデメリットを含んでいます。
この点、家族信託では、自身が認知症などになる前から、信託契約を結ぶことで具体的な財産管理の方法を決めることができ、家庭裁判所を挟む必要もありません。
■ 家族信託を利用するための手続きについて
家族信託をするためには委託者と受託者の間で交わされる信託契約と遺言による信託などが挙げられます。⑴ 信託契約について
まず契約をする前に、当事者間で家族信託の内容について話し合う必要があります。そこで、合意の上で契約に進みます。契約書に記す内容は、①信託をする財産、②誰を受託者、受任者にするか、③信託をする目的(将来的に認知症などになったときの財産管理を成年後見制度などではなく、家族信託にする旨)を明確に記します。
⑵ 遺言による信託について
家族信託を利用するには、信託契約を結ぶほかに、遺言によってこれを行うこともできます。この方法は、遺言の手続きの中に組み込むことが可能で、遺言書の内容に家族信託をする旨を明らかにしておくことで遺言の効力として家族信託も発生する仕組みになっています。
■ 家族信託をするためにかかる費用について
・家族信託は、基本的に信託契約をもとに成立します。契約書を作成するために印紙税200円(契約書1枚あたり)がかかります。・信託財産に不動産がある場合、不動産の登記を受託者に移転する必要があり、これに登録免許税がかかります。具体的には、不動産価格の1000分4に相当する額を法務局に収めます。
・公正証書を作成する場合には、作成手数料(信託財産の価格によって変化します)。
・家族信託を法律専門家に依頼する場合にかかる相談料30万円〜80万円(信託財産の価格によって変動します。)
■ 家族信託をするデメリット
家族信託は、成年後見制度に比べ柔軟に信託の内容を取り決めることができるほかに、遺言で家族信託を済ませておくと、遺産分割協議をする手間が省けるなどの相続人に対する負担の軽減などがメリットとして考えられます。しかし、デメリットも存在します。
まず家族信託は、委託者の財産管理を目的とした制度であるので、委託者のその他の権利については一切保護できない点があります。
次に、家族信託をすると、受託者が委託者の財産を管理する必要が生じてくるので受託者に様々な義務(不動産の所有であれば固定資産税の納税義務通知など)が受託者のもとに来るため、財産管理等が面倒である点で引き受けたくないという問題点があります。
また、家族信託を家族全員と相談することなく1人の家族と信託契約をしてしまうと、残りの家族との間で不公平を生む可能性があり、家族間のトラブルにもなります。
このように、家族信託は、メリットとデメリットがあります。家族信託を利用する上でご家族のみで解決できない事柄については是非とも司法書士を挟むことをおすすめいたします。
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