自筆証書遺言保管制度のメリット・デメリットとは?
将来、避けることのできない相続とそれに伴うトラブルを避けるために遺書をあらかじめ作成するといったことを考えられている方は多いと思います。
しかし、「遺言を作成したものの家族に発見してもらえるか不安だ、改ざんされないような安全な保管方法はないのか。」そのような不安も同時に生じることがあります。
上記のような遺言についての不安に対し、遺言の有効性や保管していく上での安全性を高める「自筆証書遺言保管制度」という制度が存在します。
適切な遺言の保管は、円満な相続の実現にも繋がります。
そこで本記事では、自筆証書遺言制度の概要とメリット・デメリットについて解説していきます。
自筆証書遺言保管制度とは
自筆証書遺言保管制度は、簡単に言えば遺言書を法務局で保管することのできる制度のことで、遺言者自身が遺言書を法務局に提出して保管することとなります。
この制度を利用することで、遺言書を安全に保管することはもちろん、遺言書が発見されないままに相続手続きが進められてしまうという事態を避けることもできます。
制度利用のための特別な条件などは存在せず、作成した遺言書を持参して手数料を支払うだけで誰でも利用することができます。
自筆証書遺言保管制度のメリット
では、自筆証書遺言保管制度にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
具体的には以下のようなものが挙げられます。
- ①遺言書の信頼性の確保
- 遺言書を法務局で保管することとなるため、自宅に遺言書を保管した場合の紛失、勝手な改ざんや偽の遺言書とのすり替えなどのリスクを回避することができます。
また、家庭裁判所での検認の手続きも不要であり、指定者通知を利用することで相続人に遺言書の存在が通知されるため、遺言書の存在に気づかれないまま相続を行われてし まう事態を回避できる点も大きなメリットといえます。
- ②遺言書のプライバシーの問題
- 自宅で遺言書を保管している場合は、保管場所によっては家族に作成した遺言書を見られてしまい、家族内でのトラブルに発展してしまうケースも考えられます。
相続前からのこうした事態を避けられることも、自筆証書遺言保管制度のメリットの一つでといえます。
- ③手続きが簡単かつ安価
- 自筆証書遺言保管制度は他の遺言作成・保管制度に比べて、手続きが簡単かつ安価であることがメリットであるといえます。
例えば、公正証書遺言制度では、公証人への報酬や手数料、証人の用意など手続きが複雑かつ費用負担が多額になってしまいます。
公正証書遺言制度の費用は相続財産額に応じて決定しますが、トータルで5万円以上かかることが多いのに対して、自筆証書遺言保管性では手数料の3900円しかかからないという点においては、メリットであるといえます。
自筆証書遺言保管制度のデメリット
一方で、自筆証書遺言保管制度にもいくつかのデメリットが存在します。
具体的には以下のようなものが挙げられます。
- ①各種手数料が必要
- 自筆証書遺言保管制度の手数料は、3900円と他の制度と比較すると非常に安価ですが、自分で遺言書を保管している場合には発生しない手数料がかかります。
また、保管している遺言書の閲覧や内容について書面で交付するなどの各種手続きにおいては、都度1000円程度の費用がかかる点から、保管料や各種手数料がかかる点はデメ リットといえるでしょう。
- ②遺言書の内容変更に手間がかかる
- 自筆証書遺言保管制度においては、内容変更を行うときに手間がかかる点もデメリットと言えます。
例えば、財産の分配比率を変更したい場合においては、現在保管している遺言書の保管を撤回する申請と新たに内容を変更した遺言書を保管してもらう申請を再度行う必要が あります。
遺言書の内容変更に複数の手続きが必要であり、手数料もかかる点などを考慮すると内容変更に手間がかかる点については、健康状態があまり芳しくない方などにとっては特 にデメリットとなります。
- ③遺言書が有効であるかが担保されない
- 自筆証書遺言保管制度では、法的に有効な遺言書の形式に則っているのかについては確認されますが、遺言そのものの内容は確認されません。
したがって、実際に相続を行う際、法的に無効な形式であったために遺言書としての効果を持たないという事態は避けられますが、遺言内容そのものが効力を持たないといっ た可能性を排除することができません。
こうした事態を避けるためには、あらかじめ司法書士などの専門家に相談して、遺言書の内容に不備がないかを確認してもらうことをお勧めします。
相続に関するお悩みは司法書士 横須賀うみかぜ事務所にご相談ください
司法書士 横須賀うみかぜ事務所では、相続に詳しい司法書士が在籍しております。
遺言書の保管について相談したい、遺言書の作成方法や形式について相談したい、自筆証書遺言保管制度の利用について聞きたいことがあるなど、相続について気になること や疑問点がある方はお気軽に一度ご相談ください。
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