借地権を相続した場合、貸主に対して許可をもらったり、土地を返還したりする必要はありません。
土地の賃貸借契約は被相続人(亡くなった人)が結んでいた契約期間が相続人に引き継がれることになります。
借地権の相続を行う上で、借地権の種類に応じた適切な手続きが必要です。
本稿では、借地権を相続した際の必要な手続きについて解説します。
借地権は相続できる
借地権とは、建物を所有する目的で土地を借りる権利のことです。
家などの建造物を建てる場合に、自分で土地を購入して建てる場合と、土地を借りて建物を建てる場合があります。
また借地権には2つの種類があります。
「普通借地権」は借主が契約期限を延長でき、買い取ることも可能です。
「定期借地権」は契約期間が50年以上で、期間の延長、更新、買い取りができず、契約期間終了後に更地にして返還しなければなりません。
借地権は財産の対象になるため、被相続人が亡くなった場合に相続財産として相続人に引き継いでいけます。
基本的に被相続人との契約期間が継続されているため、土地の返還や名義変更手数料などの支払いをする必要もありません。
しかし、借地権を相続した後に建物を建て替えたり増築したりする場合、貸主の許可と承諾料が発生します。
借地権を相続する際の手続き方法
借地権を相続する方法は以下の通りです。
貸主(土地の所有者)に相続人の情報を伝える
借地権を相続する場合、被相続人の契約が円滑に相続人に移行されるため、貸主に賃借料などの必要な情報を伝えます。
登記名義の変更
借地権は、登記することが可能です。
借地に建てた建物を登記すると、第3者に建物を所有していることを主張できます。
その権利を被相続人名義の建物から相続人の名義に変更するための手続きをします。
名義変更に必要な書類を準備する
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や住民票の除票、遺産分割協議書などの必要書類を準備します。
準備した書類を法務局に提出し申請します。
基礎控除額を超えたら相続税を支払う
借地権を相続することで、相続税の基礎控除額を超えた場合は、相続税を支払わなくてはなりません。
支払い期限は原則として、借地権の相続人であることを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
借地権の種類が普通借地権と定期借地権の場合で、相続税の計算方法が異なります。
まとめ
借地権を相続した場合に、借地権の種類が何かを確認します。
そして貸主に相続の旨を伝えることで円滑に手続き進めていけるでしょう。
借地権の相続に関する疑問がある場合には、司法書士に相談することをおすすめします。